はじめての決算申告に用意する資料一覧【個人・法人】

経理・税金

起業1年目で初めての確定申告や、会社としてはじめての決算・法人税申告を迎える場合、税理士に依頼や相談される方も多いと思います。その際、いかんせん初めてですから、どういった資料が必要になってくるの?ということも分からないと思います。企業規模や業種によって他に必要となってくる資料もありますが、一般的な証憑資料と注意点を一覧にしてまとめてみたいと思います。

決算に必要な資料一覧

通帳のコピー

事業年度の始まりから決算日までの明細は必ず求められると思います。決算月の翌月分も提出しておくと、売上や経費の計上漏れまでチェックしてもらえるので安心です。ちなみにクラウド会計ですとインターネットバンキングと同期できるので、コピーする必要が無く楽々です。

収益や費用の計上日について

よく勘違いされる事なのですが、入金日・支払日がそれぞれ収益・費用の計上日だと誤認されている方がおられます。原則的には「発生主義」といいまして、収益は「商品を引渡した日・役務(サービス)を提供した日」で計上します。費用はその商品やサービスを利用した分だけが経費として認められます。例えば、車を購入したら全額その事業年度の経費になるわけではなく、耐用年数(普通車の新車だと6年間)で分けて経費になります。(減価償却と云われます)

売上の資料

売上の計上漏れは税務調査で厳しくチェックされるところなので、漏れなく資料を用意した方が良いです。

  • 発行した請求書の控え
  • 発行した領収書の控え

などをご用意ください。建設業やソフトウェア業などでは「工事進行基準」で売上を計上することがあります。それは税理士からまた別途資料を求められると思いますのでご用意ください。

請求書に関する注意点

請求書の発行日をわざと翌月や翌々付きなどにズラして売上を抜こうと考えられる方もいるかもしれませんが、先述した通り売上の計上は「発生主義」ですので、商品の引渡しや役務(サービス)を提供した日に計上しないと脱税になります。税務署もよくチェックするところなので、変な悪だくみはしない方が良いです。意図的にした脱税はペナルティでさらに税金を払わなければいけませんので、結果より大きいお金を失うことになります。

棚卸の資料

決算日にどれだけ在庫が残っているかの資料です。金額にしないといけませんので、数量に仕入単価を掛けないといけません。たくさんの販売用商品を扱っている卸小売業や、飲食業なんかは大変です。建設業や製造業では製造途中の分を「仕掛品」として計上するので、それはまた別途資料が必要になります。

経費の資料

  • 人件費に関する資料(給与台帳など)
  • 領収書

領収書の管理について

可能なら日付順にA4用紙にペタペタ貼って整理されてあると、経費計上の漏れも無くなりますし、また探しやすいので税務調査が入った際の心証が良いです。ちなみに、クラウド会計ソフト「freee」ですと、スキャナや写真で読み込んだ領収書が仕訳に紐づけれますので、ワンクリックで領収書を探すことができて楽々です。それに、レシートなどは次第に文字がうす~くなって読み取れなくなるので、スキャナ保存の方が好ましいと思うんですけどね。

請求書

販売用以外の車や工具器具備品、機械など1個10万円以上してる場合は、その明細が分かる資料が必要になってきます。おそらく請求書に明細が記載されてるはずなので必ず用意するようにしておいてください。ちなみに、1個10万円以上するものは、まずは固定資産に計上され減価償却費として経費に算入されていきます。

あと保険料など、数年分を前払いしている場合にも、按分して経費を計上しますので、明細が必要になります。

その他の少額の請求書は、すべて必要という訳ではないですが、決算月分の請求書は、買掛金や未払金で計上して経費算入できるので用意しておいた方がいいです。

事務所や店舗に関する資料

賃貸と建設している場合とで揃える資料が異なります。

賃貸の場合

賃貸借契約書など家賃や敷金、礼金などの明細が分かるものが必要です。駐車場を借りている場合も同様に明細の分かる契約書が必要です。ちなみに、テナント物件を内装工事した場合は工事原価の分かる資料も必要です。内装工事は固定資産として計上し減価償却で経費になります。

建設(自己所有)している場合

建設会社や工務店が作成した、工事原価の明細が分かる資料があるはずです。これを基に、固定資産に計上後、耐用年数で按分して経費(減価償却費)になります。
その他、建設に際して掛かった費用の中には、固定資産の取得原価に含めるものがありますので、すべて用意しておくのが好ましいです。

借入れ・融資に関する資料

銀行などの金融機関から融資を受けている場合は返済計算表は必要です。毎月の返済額のうち元本と利息の分かる資料です。また車やコピー機、機械などをローンやリース契約で購入している場合にも返済予定表が必要です。

申告に必要な資料

個人の確定申告と、法人の法人税申告ではそれぞれ必要な資料が異なります。一般的に用意する資料一覧です。

個人の確定申告に用意する資料

  • 開業届の控え
  • 青色申告承認申請書の控え(提出している場合)
  • 源泉徴収票(開業前に給与所得がある場合や年金をもらっている場合)
  • 特定口座年間取引報告書(株や投資信託をしている場合)
  • その他収入がある場合その資料
  • 生命保険料の控除証明書
  • 地震保険料の控除証明書
  • 国民年金や国民健康保険税などの控除証明書
  • ふるさと納税の寄付金受領証明書
  • 医療費の領収書
  • マイナンバーカード(本人・配偶者など扶養に入っている方の分も)

法人の法人税申告に用意する資料

株式会社でも合同会社でも同様です。

  • 会社の定款
  • 登記簿(履歴事項全部証明書)
  • 青色申告承認申請書の控え(提出している場合)
  • 決算月前後に届く、税金の納付書が入った封筒3種類(税務署・県税事務所・市町村)
  • 株主名簿

決算申告の資料についてのまとめ

個人・法人ともに1年目の決算申告では何を用意すれば良いのか分からないと思います。上記にまとめた一覧表でもまだ不足している部分もあるかと思いますが、少しでもお役にたてれば幸いです。証憑資料は決算申告のためはもちろん、いつか来る税務調査のためにもきちんと整理しておくと安心です。調査の時間も短く済みますし、心証もよくなりますので(^^)